杉皮張り

くぼた

2011年04月01日 23:05

半月ほど前、取引先の設計事務所より、築50年のお宅についての相談が入った。

内部のリフォームを計画しているのだが、現状は雨漏りはしていないが、実際のところ、屋根などは手をつけるべきかどうかと。

そこでメールで写真を送ってもらい、雨漏りの可能性についての考察をしたのです。






現状で判っている状況を教えてもらい、写真を確認したのだが、築50年と言う長期間に、どのような手を入れてきたのか、そのあたりは判断が難しい。

「何をどのようにしてきた」と言うものは、お客様自身しか知らないだろうし、実際のところ、すっかり忘れてしまっているなんてことも多いし・・・・・・。

そんな住まいのメンテナンスした履歴を予想しつつ、写真を観察したのだが、全体に瓦のズレがみられ、かつ下地の問題からくる瓦のおどりが確認できたのです。






もちろん、これだから雨漏りすると言う事に直結することなどないのだが、ここで問題になるのは屋根の下葺き材。

この当時の瓦葺きは、今のようにルーフィングという防水シートなど使用されておらず、杉皮を野地板に張っているのです。

野地板も今のように合板で隙間無くという事もなく、杉の野地板となっているので、瓦の隙間から雨水が浸入し、土が雨水を貯める限界を超えたり、土が無いところに吹きかかれば、当然のように屋根裏が濡れるという事に・・・・・。







ただし、瓦のズレが無く、土がしっかりして、棟の平瓦の傾斜と漆喰に問題がなければ、この杉皮という下地防水(?)でも雨漏りをしないのだから、それはそれでたいしたもの。

そんな想いもありながら、昨日、現場にて状況確認させて頂いた。

     







雨漏りを診断する事を業務のひとつとしている私にとっては、普段私自身が手がける作業である塗装工事という概念でも、同じく防水工事という概念でもなく、板金、瓦葺き、左官、大工工事の観点からなどなど、多角的に可能性を考えるのが仕事なので、今回も同様に診断を含めた相談を受けたのです。

それにしても、とてもやり甲斐のありそうな工事であることは間違いないし、その際は私自身も、現場でもベストを尽くしたいものである。

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