シミとカビ

くぼた

2011年04月09日 22:10

先日のこと、RC造の集合住宅へ現地確認に行った。

築30年を超える賃貸アパートとしての建物であったのだが、その室内の補修についてのご相談であった・・・・・。






このご相談と言うのは、入居者の退去に伴い、室内の塗装をしたいと言うものだったのだが、その際、もうひとつ、どうしたら良いのだろうという箇所があったのです。

それは、室内の数箇所に発生した、クロス部分を通して浮き出してきているシミとカビ。

     






こちらの建物の場合、もともとRC躯体を石膏で均し、そこにEP仕上げ(水性塗料仕上げ)としていた。

そこに見た目を考慮したのか?クロスを張ってしまった事が、そもそもの失敗なのである・・・・・。

この失敗の理由とは、クロスを張ったことで、壁面の通気、透湿を妨げてしまった事によるものなのです。

そもそもRC造の建物では、結露が宿命のように付いて周る、それを防ぐためには、壁面の断熱をしっかりとしなければならないのだが、分譲マンションならともかくとして、賃貸の古いマンションでは、断熱を考慮に入れている事は、まず無いのが現実。

もちろん今回の建物も・・・・・・。







外壁側のヘアークラックから染み込む雨水、そしてRCの宿命である結露、この両方の水分がクロス下地である壁内に溜まり、逃げなくなることで、シミとカビが発生していくと言う仕組み。

ただし今回は、シミとカビでは終わらず、石膏に大きな影響を及ぼしていたのです。

     






クロスを剥がすと、石膏に長期間水分が溜まっていたことを顕著に表すように、ブクブクと泡を吹いたようなパテ。

そしてそれらは、まるで粘土のようにベタベタとしているのです。

そして石膏は・・・・・。

     






石膏表面を指で押すと、そのままズブズブとめり込んでしまうのです!!

本来、硬くなっている筈の石膏は、溜まった水分によって、強度を失い、まるで腐朽してしまったような状態になっていたのです。

そこで、弱い部分の石膏を掻き落としていくと・・・・・・・・・。

     






このように大きな穴が空いてしまうほど、水分の影響は大きく響いているのです。

このまま埋めて、再度クロスにしてしまっては、また同じことの繰り返しになるってしまうので、今回は根本的なほかの方法にしなければならない。

ただし、賃貸という条件を踏まえ、このような現場の補修工事は、コストを掛けるべき部分は掛け、抑えるべき(抑えられる部分)は、しっかり抑えなければならないと言う制約はもちろん・・・・・。

それにしても、ここまで酷くなるとは、水分のチカラ、恐るべし・・・・・・。

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